Talk 02
(樹が前方を指す)
楓「マジだ。着ぐるみ?」
樹「おーい、シナモ~ン!」
(声を掛けるとシナモン(?)が振り向いた)
彩「!(シナモンどこ!?)」
(キョロキョロ)
楓「彩!?」
樹「着ぐるみパジャマの彩ちゃんだったのかぁ」
彩「え? あ……え、わたしのこと? ……なんだ、シナモンがいるのかと思った」
楓「さすがにねえだろ……ピュー●ランドか」
樹「それすごく可愛いねえ、似合うよ」
(なでなで)
彩「ありがと風和くん。シナモン好きなの。えへへ」
(樹の好感度が上がった)
彩「! 楓くん」
(横に来た楓を見上げた)
楓「!?(か、かわっ……!)」
(猫耳パーカー+上目遣いの破壊力)
彩「?」
(そのまま首をこてんと傾げた)
楓「!?(俺オタクでもサブカルでもねえけどこれは普通にヤバい! 着ぐるみパジャマの比じゃねえ!)」
彩(どうしよう……楓くんが挙動不審だ)
(おろおろ)
彩「しーちゃん、げっそりしてどうしたの?」
雫「訓練生の世間話に付き合っていたら、『蘇芳派』『音無派』『風和派』誰が好みかという話題になったのよ」
彩「三人とも人気あるんだ?」
雫「そうらしいわ。何がいいのかしらね。ただの、能天気とシスコンとチャラ男じゃない」
彩「しーちゃんはいつも何でそんな厳しいの? 特に楓くんと風和くん」
雫「彩に近付くからよ」
彩「うーん……もう少し優しくしてあげても……」
雫「甘いわ。あいつらに何かされたらすぐ言ってちょうだいね。ぶっ殺してやる」
彩「えっと、殺しちゃだめだよ? せめて訓練でフルボッコにするくらいじゃないと……」
雫「彩がそう言うなら仕方ないわね。善処するわ」
(ゾクゾクと悪寒がした三人)
雫「彩、どうしたの?」
彩「楓くんとふたりでしーちゃんのお部屋作ったの」
雫「……蘇芳と? 『ふたり』で? 私の部屋? (なぜ私の部屋? どこに? 何が起きてるのよ……)」
彩「あっ! 今、楓くんと『ベータ』基地を作ってて……」
雫「蘇芳〜! 一からすべて説明しなさい!」
楓「え゛! 突然なに!?」
彩「しーちゃん、落ち着いて! 楓くん殺さないで!」
楓「物騒!」
(M⚫necraft的なゲームの話である)
彩「どうしたの? 大丈夫?」
楓「ささくれ引っ掛けちまった……」
彩「ちょっと待ってて」
楓「これくらい舐めときゃ治るって」
彩「だめ、舐めちゃだめ! ばい菌入るから」
(鞄から絆創膏を取り出して楓の指に巻き付けた)
彩「これで大丈夫」
楓「サンキュ!(って……何かモコモコのまりもみたいな生物が並んでるピンクのえげつなく可愛いやつなんだけど! 彩これいつも持ち歩いてんの!?)」
(『ハッピーモコ』モコちゃん柄の絆創膏)
楓「悪ぃ! 寒い? 暖房入れるわ」
彩「……あ、うん(そこまで寒いわけじゃないんだけど、気遣ってくれてるんだよね)」
楓「とりまこれ着てて」
彩「えっ」
(楓が自分のジャージを着せた)
楓「あっ! 洗ったばっかのやつだからキレーだぜ。さってとー、次の建築資材は……」
彩「楓くん……」
楓「ん?」
彩「これぶかぶかで手出ない」
楓「!?(これが『萌え袖』ってやつ!? うわっ……!)」
(何かに目覚めそうな楓)
彩「? どうして?」
万梨亜「だだの好奇心。だって、お兄ちゃんには負けるけど楓くんも樹くんもイケメンなのに全然興味なさそうだから、気になっちゃったの」
彩「うーん……考えたこともなかった」
万梨亜「そっかぁ。……ってまさか! お相手は雫ちゃん!?」
彩「えっ。あっ……そういう関係じゃないよ」
万梨亜「そうなの? すごく仲良さそうだからてっきり……」
彩「しーちゃんは友だちだけど、家族みたいな感じかな」
万梨亜「家族かぁ……言われてみると雫ちゃんってお姉ちゃんっぽいかも」
彩「うん、でしょ」
雫「それがどうしたのよ」
楓「だって、ひとりでも『すげー!』ってなるのに、ふたりもいたらいつバレるかドキドキしっ放しじゃん?」
雫「あなた、そんなことで興奮してるの。よくある話よ」
楓「え?」
樹「まあ、大抵の組織には二重スパイが潜入してるものだよねえ」
楓「まさかここ(クロノス)にも!?」
樹「そりゃあ。あ、そういえば……」
楓「え? 怪しい奴でもいんの?」
雫「いるの……? 私も諜報部の情報までは知らないわよ……」
樹「……いや、なんでもない」
楓「ちょっ、急に真顔で黙るのやめろって!」
樹「……なーんてね。やだなあ。全部冗談だよ、あはは」
雫「あなた(元スパイ)が言うと笑えないわ」
楓「それなー」
樹(仮にそんな情報があったとしても僕が言うわけないのに……たまにこの子たちが真っ直ぐで心配になるよ)
万梨亜「この髪飾り? ありがとう!」
彩「ハロウィンみたいだね」
万梨亜「そうなの! もうすぐハロウィンだから付けてみたの」
彩「コウモリの羽、かな? それとも悪魔の羽?」
万梨亜「コウモリかな〜? どっちでも可愛いでしょ?」
彩「うん……!」
万梨亜「えへへ、ありがと。彩ちゃんも可愛い髪飾り好きだもんね?」
彩「えっ……あ、わたしは……そんな……」
万梨亜「もう、照れちゃって! いつもつけてるの可愛いもん」
彩「……ありがと」
(ガチ照れ)
万沙斗「……」
彩「現に、万沙斗くんは全力で万梨亜ちゃんを守った。そうでしょう?」
万沙斗「それはそうだが……もしかして、不安なのか? 自分がこの先どうなるか……」
彩「っ! ……みんなには言わないでね」
万沙斗「(否定しないのか……)わかった」
(万沙斗は彩の頭をぽんと撫でた)
彩「えっ!?」
万沙斗「! 悪い(しまった、いつも万梨亜にやってるようについ癖で……)」
(互いに気恥ずかしくなった)
(彩はエプロンを着けた)
彩「訓練ばかりじゃよくないって教官も言ってたし〜♪」
(ボールに材料を入れた)
彩「ガトーショコラならみんな喜んでくれるかな〜♪」
樹「少なくとも僕は嬉しいな」
彩「うわ! 風和くん!? 気配消していきなり話し掛けないで!」
樹「ごめんごめん。でもあまりに楽しそうだったからさ」
彩「……き、聴いてないよね?」
樹「ん? なぁーんのこと?」
彩「鼻歌」
樹「大丈夫。生地混ぜながらルンルンしてて可愛かったよ」
彩「ううっ……忘れて」
万梨亜「黒いスーツにサングラスでカッコイイでしょ〜」
雫「あれじゃまるでFBIの要人警護か大統領のシークレットサービスじゃない、目立ちすぎよ!」
彩「……見せかけ、じゃないかな」
万梨亜「見せかけ?」
彩「確かにあの人も警護の人なんだろうけど、たぶんわたしたちにもわからない諜報部の警護が別についてると思う」
万梨亜「周りの目をスーツさんに向けさせて、実は他の人にひっそり警護されてるってこと?」
彩「うん」
万梨亜「きゃー万梨亜ってばすごーい! まるで重要人物ね!」
雫「はあ……(まるでも何も重要人物なのよ)この子どれだけ呑気なのかしら」
彩「付き合ってくれてありがとう」
万沙斗「……別に俺じゃなくてもいいだろうに」
彩「でも、訓練は実力が同等以上のほうが捗るよ」
万沙斗「ふーん……(俺は上に見られているのか)」
彩「それに、万沙斗くんこの前『クロノスは平和だが暇だ』って言ってたでしょ」
万沙斗「ああ……そうかも(もしかして気遣われたのか?)」
彩「万沙斗くん強いから色々勉強になるよ」
万沙斗「……また、付き合ってやってもいい」
彩「やった!」
(思わず笑顔になる彩)
万沙斗「!(うわ……)」
万沙斗「バスケの入門書」
万梨亜「お兄ちゃんバスケするの!? 興味あったんだ……」
万沙斗「蘇芳と風和がやっていて、面白そうだった」
万梨亜「うわあ! 楓くんと樹くんのバスケ姿カッコイイだろうなあ!」
万沙斗「ぴくっ」
万梨亜「もちろん、お兄ちゃんがバスケしたらもっとカッコイイよ!」
万沙斗「!(練習するか)」
(チョロすぎである)
万沙斗「やってただろ」
樹「いやまあ、できるけど……楓くんがバスケ部のレギュラーだったから」
万沙斗「嫌だ」
樹「え(まだ話の途中だったのに即答された)……うーん、教えるのも楓くんのほうが上手いと思うよ」
万沙斗「なんかムカつく」
樹「ハッキリ言うね」
万沙斗「気が合わない」
樹(趣味は十分合うと思うんだけどなあ……楓くんと万沙斗くんにはライバル的な何かを感じる)